桜咲刹那の「将来木乃香を養っていけるか」という妄想は、ストイックな自己犠牲精神の産物
刹那は本当に堕落し、腑抜けた百合キャラになってしまったのか?
今週のネギま!(252時間目「ウチの剣士様(パートナー) ♥)で桜咲刹那が「(コンビニの)バイトの収入で、お嬢様を養っていけるかどうか・・」という妄想をしているコマ(※その直後に「ん?何を考えているんだ 私」自ら突っ込んでいます)がありました。この描写に当初僕は、大変な不快感を受けました
刹那がこんな妄想をするだろうか?いやそんなハズがない。今までの刹那の生い立ちや生き様から考えれば、「木乃香を養う」なんて浮世離れした地に足が着いていない妄想をする訳が無い。
これは赤松先生の一部のこのせつ好きの読者に対してのサービスではないのか?その読者サービスのために、刹那の人格が捻じ曲げられたのではないか?
そう感じて、赤松先生に抗議メールまで送ってしまいました。
はたして、刹那は本当に堕落した百合キャラになってしまったのでしょうか?刹那の生い立ちを振り返ってみるうちに、刹那の「お嬢様を養う」という妄想は、刹那の「木乃香を守る事だけが私の存在意義」という自己犠牲の精神が生みだしたという結論に至りました。
その結論に至った経緯を、麻帆良学園に来るまでの刹那の特殊な生い立ちを振り返りながら説明していきたいと思います。
刹那の幼少期「同属からの迫害」
刹那は烏族と呼ばれる亜人種の父親と、人間の母親の間に生まれたハーフです。
戦闘時の烏族 *1
両親を無くした刹那は烏族の中ではタブーとされる忌まわしき白烏*2として、烏族の中で迫害*3されて育ちました。
刹那、詠春に拾われて木乃香という初めての友達を得る
それを苦に烏族の里を出奔しようとしていたところを木乃香の父、関西呪術協会の長の近衛詠春に拾われます。そして京都の呪術協会の本山で生まれて初めて心を許せる近衛木乃香と言う友人を得ます。
幼少期の木乃香と刹那
木乃香に取っても生まれてはじめての友達、そして刹那にとってもはじめての友達でした。
木乃香を失う恐怖から、神鳴流に強さを求めた
ある日木乃香が川で溺れ、刹那は助けようとした刹那もいっしょに溺れます。この時に「木乃香の為に強くなり、陰から守る」という誓いを立てたようです。
幼い日の刹那の誓い
この時の木乃香は麻帆良の小学校に入学する前。同じく刹那もまだ7歳に満たない幼児です。そんな小さな子供の考えとしては、あまりに大人びていて違和感を感じてしまいます。
そんな違和感も、こう考えれば解消されるはずです。
刹那にとって物心付いてから「人との付き合い=白烏迫害される事」だった。木乃香はそんな刹那に出来た初めてで唯一の友達。大げさではなく木乃香は刹那の生きる希望そのもの。そんな木乃香を無くす事は、刹那に取って生きる意味を無くす事と同じ。
その後の刹那は、木乃香を無くす恐怖から逃れる為に必死に神鳴流に打ち込んだのでしょう。詠春の要請と刹那の意思で、中1の時に木乃香の護衛に抜擢され麻帆良学園に入ります。*4
「お嬢様を養っていけるか」という妄想は、ストイックな自己犠牲精神の産物
そのような特異な人生を歩んできた刹那。木乃香とも友人関係になり、明日菜やネギといった仲間を得た今でも、心の奥底では「木乃香を守る事だけが私の存在意義」だと思っているのではないでしょうか?人間、生き方や信念はなかなか変えられないものですし。
だから、刹那の深層心理は自分の存在意義そのものである木乃香を赤の他人の男に渡す行為(木乃香の結婚)を無責任だと拒む。そして、もし可能なら刹那を永遠に死ぬまで守り続けたいと心のどこかで願って居る。だから「木乃香を養う」という、一見百合キャラ化したかのような妄想をしてしまうのです。
刹那の「お嬢様を養っていけるかどうか」という妄想はけっしてお気楽なファンタジーでもないし、カジュアルな友達同士の百合ごっことも異質なものです。むしろいまだに「お嬢様を守る事が私の存在意義」という妄執に囚われている、暗く、報われない、悲しい妄想*5です。ですから、刹那は堕落もしていなければ、腑抜けて百合キャラ化した訳でもありません!
いつの日か木乃香が結婚*6するとき、刹那に心から木乃香を祝福できる心の余裕が生まれていることを願うばかりです。
脚注を装ったミニコラム
「烏族である事を知られた場合、姿を隠さなければならない」という一族の掟があります(単行本4巻 31~32時間目「怪奇!京都・お札三昧女!!」)。戦闘モードの烏族の格好はどう見ても人間には見えず、一族の掟の存在意義がなくなります。ですので、刹那の翼を生やした烏族モードと同じく、純血種の烏族もこの戦闘モードはあくまで非常時のもの。普段は、人間と似たような外観をしていると推測されます。
(※更に余談ですが、赤松先生が烏族の戦闘モードの外観は男女共通であることを示唆した発言「刹那は烏族と人間のハーフです。母親が烏族というのは絵的によろしくないので、刹那は母親が人間で父親が烏族のハーフでしょうね」をしています。)
黒い翼の普通の烏族に比べ、白烏は白い翼に更に紅い眼を持つ。烏族の中でも強大な力を持ち霊格も高い。その為か烏族の中ではタブーとされていた。
アシスタントのMAGIさんの日記(※閉鎖) [MAGI`s HOMEPAGE(※閉鎖)]によると、108時間目「究極の選択」では当初、幼少期の刹那が「誰もいない夜の滝壺でホロホロ泣きながら自分の羽根を毟り取る」描写が回想として描かれる予定だったそう(実際は絵も描きあがっていたのに、少年誌に不適切という理由で全て没に)。特異な白い翼と赤目のせいで、相当な迫害を受けていたことを連想させます。

そのとき、刹那がその際携えてきた愛刀・夕凪はかつて大戦期に詠春が愛用していたものです(単行本19巻 169時間目「夢か現か幻か!?」)。そんな大切な刀を若干12歳の桜咲刹那に託したのは、重要な愛娘の護衛という任務の特殊性に加えて、桜咲刹那への詠春の思い入れ、愛情を感じます。
刹那の百合妄想を「暗く、報われない、悲しい」と表現したのは、以下の理由です
- 刹那はいまだに木乃香を守ることが自分の存在意義だと思っている。それは木乃香に精神的に依存しているとも言い換えられる。
- 一方木乃香は刹那のことは「世界一大切なかけがえの無い友達」と思っていても、刹那に自らの存在意義を求めては居ない。
- 立派な魔法使い(マギステル・マギと)いう明確な目標を見つけた木乃香、一方「一命に変えても木乃香を守る」と結局は木乃香に自分の方向性を任せっぱなし。木乃香に精神的に依存しているとも取れる
- 木乃香が結婚して他に頼る人(夫)が出来たとき、刹那のアイデンティティは崩壊してしまうのではないか?
僕はアスネギ派(明日菜×ネギ)ですが、木乃香の結婚相手候補としてはネギ先生もアリだと思います。木乃香と結婚するということは関西呪術協会の長になるということですが、ネギ君なら関東と関西の不仲を解消してくれそう。更には東洋魔法もその才能で当代随一の使い手に成長、西洋魔法と東洋魔法を同時に使う、スーパー魔法使いとか色々妄想してしまいます。
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コメント
5254:素晴しいです
まあ、素直に振舞えば剣を捨てても刹那が木乃香のメイドさんになれば良さそうなのをコンビニのバイトとか描くのがネタっぽいですよねw。
所で「闇の魔法」ってネギの潜在魔力を無理やり引きずりだして使ってる様に感じるので、非常に応用が利きますが結局、反動も含み万能では無いと思うんです。
そういう意味で何れネギは力を符に貯めたりして使う?東洋魔術に着目するのでは無いか?と思っていますがどう思います。
フェイトも東西両方使ってましたしね、拳法といいネギは何処かでフェイトの影と戦うのかもしれませんね。
失礼致しました。
6257:承認待ちコメント
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