『魔法先生ネギま!』の漫画家・赤松健先生が、ナタリーTVで2011年8月23日(火)21時頃から約1時間に渡り、畑健二郎先生の「ハヤテのごとく!」についてUSTREAMを利用して生で語りました。
その速報版レポートが、ナタリーTVのTwitterアカウントで公開されてます。以下はそれをまとめたものです。正式なレポートは「コミナタ漫研」レポート記事インデックスに後日アップされると思います。
赤松健 今日は『ハヤテのごとく!』のストーリーやキャラクターではなく『ハヤテのごとく!』とは何かを語ろうかと 赤松健 作者はマンガを描くときキャラクターの顔になっている。ということは、作者ができない顔は描けない。 赤松健 マンガの中には、必ず作者がいます。憧れの対象物だけでマンガを描くことはできません。『ハヤテのごとく!』の中には畑君がいるんです! 赤松健 私の持論ですが、ラブコメっていうのは短命。エッチなラブコメで10数巻いくのは大変。『ラブひな』も全14巻が限界だった 赤松健 バトルマンガは敵を倒せば次の敵と戦える。でもラブコメは相手を次から次へ変えられない 赤松健 私がイメージした長寿連載の最終形態は、ラブコメからはじまり、少女たちを性の対象ではなく仲間として一緒に戦う道 赤松健 それが『ネギま!』フォーマットです。しかし一般的なラブコメは、長続きしないから危険です。なのに『ハヤテのごとく!』は長続きしている 赤松健 畑君がどのキャラクターの中にいるかを探ることで『ハヤテのごとく!』が長期連載でいられる秘密を探ります 赤松健 畑君は女性キャラクターの気持ちでマンガを描いてるんじゃないかと思う。 赤松健 『ネギま!』と「ハヤテ」では、『ハヤテ』のほうが売れてるんです。『ネギま!』にはある要素が欠けてるんです 唐木元 『ハヤテのごとく!』に出てくる女の子は、みんなハヤテのことが好きですよね 赤松健 『ネギま!』の女性キャラは自分じゃなく、作りこまれたキャラだから成長しない。死んでる。でも『ハヤテのごとく!』の女性キャラは、みんな畑君の分身だからいろんな表情を見せる。成長する 赤松健 でも、男性読者は死んでる女性キャラが好きなんですよ(苦笑) 唐木元 「ネギま!」は考えこまれた強固なシステムの魅力。逆に『ハヤテ』の良さは、よく言えば天然ですよね 赤松健 コミケの壁は流行りもののアニメがいつも並び、内容が入れ替わる。でも女性向けは、同じカップリングを10年単位で描く。女性人気の高い作品は強い 赤松健 「ネギま!」はシステムがしっかりしてるから、誰が描いてもそこそこヒットする。でも「ハヤテのごとく!」は、描くのが難しいから目指すのはやめたほうがいい 赤松健 サンデーはラブコメが多いからって、ラブコメをサンデーに持っていってもダメ。マガジンにはあんまりアニメっぽいラブコメがなかったから、マガジンで『ネギま!』を始めた 赤松健 マガジンにはあんまりアニメっぽいラブコメがなかったから、マガジンで『ネギま!』を始めた 赤松健 他ジャンルでヒットしたものを、まだヒットしていない土壌に持っていけばヒットする 赤松健 読者が本質的に読みたいもの、まだやられていない珍しい場所に持っていってやれば売れる 唐木元 そうですよね。ボクシングマンガを今からマガジンに持って行っても、難しいですもんね 赤松健 『ハヤテ』は、今のままを続けることが可能。エッチなこととか、変なことをしなければ世界が崩れない。ラブコメなのに、長続きする道が示されているのは非常に稀有 赤松健 『ハヤテ』のフォーマットは少女マンガ。だけどラブコメが強いサンデーらしく女の子キャラがいっぱい。なのに作者の畑君は女の子に感情移入して描いている
■作者がキャラを作りこんだ女性キャラが登場する『ネギま!』 ■作者自身が女性キャラクターの気持ちになって描いている『ハヤテ』
…という見方が面白いですね。
また、赤松健先生自身が「マンガの中には、必ず作者がいます。憧れの対象物だけでマンガを描くことはできません。」と断じているのですから、『ネギま!』の中にも、当然赤松健が居るはず。
となると、主人公のネギ先生は、赤松健の自己投影なのかな?